pic

2020年4月6日

 

2020年度新入生及び保護者の皆さまへ

同朋大学学長 松田 正久

 新入生の皆さま、保護者の皆さま、同朋大学を進学先にお選びいただきありがとうございます。ご入学の祝福を申し上げます。おめでとうございます。

 新しい門出を祝い、同朋学園三大学(同朋大学・名古屋音楽大学・名古屋造形大学)合同の入学式を名古屋市公会堂で挙行する予定でしたが、12月に中国から始まった新型コロナウイルス感染症が世界の国々で蔓延している状況下で、やむをえず、中止といたしました。例年通りのかたちで、皆さまをお迎えすることができなくなったことに対し、お詫びを申し上げねばなりません。関係者すべての方々に対し、大変申し訳なく思います。

 新入生の皆さまは、大変厳しい状況下での大学生活のスタートとなるわけで、本学としても新入生ガイダンスを4月13日・14日に繰り延べ、講義開始日は4月20日として、2週間程度延期することとしました。ガイダンスの最初に、皆さまへ祝辞を述べたく予定しておりますが、先に本学ホームページを通して歓迎・祝福の言葉をお伝えいたします。

 本学は、仏教精神、とりわけ浄土真宗の祖である親鸞聖人の精神を教育・研究の柱として掲げる大学で、学年暦の折々に仏教行事が組み込まれています。本学は、その親鸞聖人の教えと親鸞聖人が「和国の教主」と崇敬する聖徳太子の精神から、「同朋和敬(どうぼうわきょう)」を建学の理念として掲げ、「共なるいのちを生きる」、英字表記では「Living together in diversity」と表し、真の人間教育を目指しています。本学ホームページの「大学案内」に「建学の理念」や本学の「沿革」を掲載していますので、ぜひ一度ご覧ください。

 仏教精神、親鸞聖人の教えを柱とする本学の根幹は、学生一人ひとりを大事にした人間の教育にあります。本学は、そのため、いのちの大切さと人間の尊厳の確立を、仏教、とりわけ真宗について学ぶ仏教学科と人類の歴史や文化、あるいは日本の文学を通して学ぶ人文学科からなる文学部と、「共なるいのち」の具現化を社会福祉専攻と子ども学専攻を通して学ぶ社会福祉学部の2学部で構成されています。今年度は文学部83人(仏教学科13人、人文学科70人)、社会福祉学部233人(社会福祉専攻187人、子ども学専攻46人)で総勢316人に加え、3年次編入2人、人間学研究科博士前期課程9人、同後期課程3人、別科(仏教専修)19人の総計349人の新入生をお迎えすることができました。

 大事なことは、一人ひとりの顔が見える教育の実践で、そのため少人数教育を掲げています。先ほど「共なるいのちを生きる」と述べましたが、これは「共に歩む」「共に学ぶ」「共に育つ」ことだと考えています。一人ひとり個性の異なる多様な皆さまが「共に育つ」ことのできる大学でありたい、というのが、教職員共通の願いです。

 大学は、教育と研究を通して世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することが求められています。私は、これを「知の継承」「知の創造」「知の貢献」と呼んでいます。本学における2020年度の専任教員は総勢47人です。それ以外にも、講義や演習などをご担当いただく非常勤の先生方も多く見えます。専任の教員は週2時間の「オフィスアワー」という、学生の皆さまの学修上の質問や相談に乗るための専用の時間を設けています。ぜひこれらの時間を有効活用し、先生方との距離を縮めてください。私の部屋(学長室)は成徳館の2階北側で、同じフロアには実習指導室、障害学生支援室、保健管理室、学生相談室などもあります。部屋にいるときは、学長室のドアは真冬を除き開けてありますので、遠慮することなく自由に学長室を訪ねてください。半世紀ばかり皆さまより年長ですので、いろいろ相談に乗ることができます。本学ならではの、こうした点を強調しておきたいと思います。

 これから始まる大学生活の4年間、先を思えば長いようですが、この4年間をいかに生きるかは、それぞれの人生をどう歩んでいくかという課題において、とても大事な時間だと思います。高校までは、決められた授業を受けてきたと思いますが、大学では、様々な資格を取るための教育課程を除き、自らが科目を選択し学修していくことにあります。そして、重視すべきは、先生や学友との双方向の議論やゼミでの学修です。これらを通して、自らの考えを確立し、日常不断の学修を通して、人間とし生きていく力を身に着けるのです。

 人間は、一人では生きられません。家族や友人や先生方など、多くの人々に支えられたからこそ今、皆さまはここにいるのです。新型コロナウイルス感染症で多くの方が亡くなり、また世界では民族や宗教や国境に絡む戦争や紛争が絶えません。日本では武力によって他国の人を殺すことのない貴重な75年が経過し、これからもそうであってほしいと私は願っています。親鸞聖人は、人や国が争うことのない世界の実現を願いました。愚かしい争いごとではなくて、「共なるいのちを生きる」こと、つまり持続可能な社会の創造に向けて、学生生活をスタートしてほしいし、何よりも社会的に弱いものに寄り添い、共に歩む気持ちを持った真の人間として成長していってほしいと願っています。

 保護者の皆さまにおかれましては、本学における「共育後援会」の会員として、お支えいただきたく存じます。本学は、「共育」=「共に育ち共に育む」教育を実践していきます。人間としての教育を重視した教養教育を礎として、各学部学科専攻コースでの専門教育に加え、人間としての育ちを保障するための「人間教育」を、学年を問わず大事にしていきたいと考えています。保護者の皆さまのご期待にかなうよう、学長をはじめ教職員全員で学生の皆さまの日々の成長を全力でバックアップしていく所存ですので、温かい励ましとご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

 最後になりますが、新入生の皆さまには、何よりも自分を大事にすると同じく他者を思いやる気持ちをお持ちいただき、学修に、クラブ活動に、友達つくりなどに精進いただき、これからの同朋大学での生活が充実したものとなることを期待し、私のメッセージといたします。

 同朋大学へのご入学、本当におめでとうございます。