2023年度9月29日(金)、2023年度 前期卒業式を執り行いました。
卒業生の皆様、おめでとうございます。

 

【学長式辞】

 ロシアのウクライナ侵攻から1年と7カ月余、収束の兆しは見えません。
仏陀ゴータマシッダルタの「ダンマパダ(真理の言葉)」の「暴力」には「殺してはならず、殺させてはならない」とあり、「兵戈無用、天下和順」と仏教は教えます。諸行無常・諸法無我・涅槃寂静の境地に至りたいと思うのですが,私にはなかなかむつかしいと感じていますが、目指したいとは思います。
 今日、文学部2人、社会福祉学3人の計5人の学生諸君は、半年遅れとはいえ、一人一人の努力の結果として、めでたく卒業の日を迎えました。この3月に卒業された友人の方々、皆様の保護者の方々も、安心されたことでしょう。卒業おめでとう。
 さて、国連のグテレス事務総長は、地球は沸騰化の時代に入ったと言いました。元には戻せない転換点を過ぎたのではないかともいわれます。しかし、まだ間に合う、世界が一つになって、化石燃料を使うのをやめて、再生エネルギー化を一挙に進めれば、まだ間に合います。それはあなた方若者の手に委ねられています。目の前のことだけにとらわれず、壮大な目標に向かって、進んでいただくことを心から期待します。
 この30年の日本を振り返りますと、貧富の格差が大きく広がった時代、選択と集中により社会のゆがみが広がった時代であったように私は感じます。また、コロナ禍の中で、3年間、パンデミックの中での生活を強いられ、学業の面でもままならないことが多々ありました。こうしたことは、近未来にまた起こるかもしれませんし、東南海地震という私たちが今まで経験したことのない大災害に見舞われるかもしれません。こうした事態に備えてくことも求められています。問題は山積していますが、君たち若者の力で乗り越えてほしいと願っています。
 この3年間のコロナの経験は君たちの人生にとって、得難い経験であったと思ってください。この間、世界は大きく変わり、20世紀の戦争の時代に戻ったのではと思わざる得ない事態も起こっていますが、戦争は最大の環境破壊です。私たちは、平和憲法の下、戦争を起こさせないためのあらゆる努力が求められていることを社会人としての一歩を歩みだす皆様にお願いしておきたいと思います。
 また先の「ダンマパダ」の「幸せ」の項で、「健康は最高の財であり、充足は最高の富であり、信頼できる人は最高の友であり、安らぎは最高の幸せである」とブッダは言っています。
君たちの未来が、君たちそれぞれにとって、満ち足りたものであることを願ってやみません。どうか、同朋大学で学んだあれこれ、友人や先生方と交わり学んだ日々を糧に、君たちの人生が「幸せ」に満ちたものであることを切に願って、私の祝辞といたします。

2023年9月29日 

同朋大学学長 松田 正久

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