同朋大学・硬式野球部 “次期エース” の呼び声高い、馬渕歩空 投手(2年・帝京大可児) 2019年シーズンを終えた今、今シーズンを振り返ってもらうとともに、来シーズンに向けての意気込みやチームメート、また共に戦う父・馬渕隆雄 監督についてインタビューに答えてもらいました。 周囲も驚く成長スピードで一躍 “開幕投手” に。 --まずは今シーズンを振り返ってください。 「今シーズンは、開幕戦(秋季リーグ戦)から投げさせてもらいましたが、チームに助けられっぱなしでした。しかし、今までにないくらい多くの経験を積むことができました。」 大方の予想を覆し、開幕戦に登板。7回2/3を4失点と開幕投手の役割を果たした。 --春季リーグ戦では制球に苦しむ場面が見られましたが、秋季リーグ戦では制球力が上がり、主力投手としてチームを支えました。どのような変化があったのでしょうか? 「春季リーグ戦では、自分の投球に自信を持って投げることができていませんでした。しかし、春季リーグ戦後のオープン戦や夏のキャンプで、春季リーグ戦で何が悪かったのかを分析し、課題を持って取り組むことができました。その結果、少しずつ自信がついたのが大きいと思います。」 春季リーグ戦では制球に苦しんだが、その後、夏場にかけて制球力を向上させた。 --秋季リーグ戦では、久保田淳希 投手(4年・名市工)と並んで『二枚看板』としてチームに大きく貢献しました。久保田投手の存在は馬渕投手にとってどんな存在でしたか?また、久保田投手とはピッチングについての意見交換やアドバイスをもらうことはありましたか? 「自分の後ろに久保田さんがいる。これだけで安心して投げることができました。シーズン中もピンチで久保田さんに交代してもらう場面があり、必ず抑えてくれた憧れの存在です。 ピッチングについては、精神面の部分で多くのアドバイスをいただきました。これまで多くのピンチを経験してきた久保田さんにしかわからない、とても貴重なアドバイスをいただきました。」 押しも押されもせぬエースとして4年間、同朋大学を支えた久保田淳希 投手。 一方、久保田淳希 投手は馬渕投手をどのように見ていたのか、話を伺った。 「来シーズンは、今後更に上のレベルを目指してやる上でとても大事な時期となります。現状のままでは、チームを勝ちに持っていくだけの実力はまだ足りないと思います。馬渕が過信することなく練習に取り組んでいけば、チームに勝利をもたらせるでしょうし、信頼される選手になれると思います。相手チームに研究され、データを取られる中で自分自身としっかり向き合ってプレーすれば、良い結果に繋がるのではないかと思います。」 馬渕投手に、厳しくも“愛”のある叱咤で更なる成長を求めた久保田淳希 投手。 卒業後は社会人野球の強豪・セガサミーに入社予定。2021年のドラフト指名、NPB入りを目指す。 『転機』となった秋季リーグ戦の “OPENING GAME” --今シーズン、印象に残っている試合はどの試合ですか? 「8月31日の至学館大学との秋季リーグ開幕戦です。開幕戦に向けての練習や気持ちの作り方など、今までにない緊張感で試合に臨むことができました。結果的に負けてしまいましたが、打者に対して自分のボールがどこまで通用するかなど、得るものがとても多い試合でした。」 --バッテリーを組み、女房役となる上地ケンジ 捕手(3年・藤枝明誠)について教えてください。どんなキャッチャーですか? 「走・攻・守、全てにおいて高いレベルの頼れるキャッチャーです。試合中も常に会話をし、どのようにしたら抑えられるかを常に考えています。ケンジさんとバッテリーを組んでいるととても楽しいです。」 上地ケンジ 捕手にも話を伺った。 --馬渕投手が春から秋にかけて急成長を遂げましたが、直接ボールを受けていて変化は感じましたか?何が一番変わった(良くなった)と思いますか? 「コントロールが安定したところが大きいと思います。一番変わったなと感じるところは、本人に自信がついたところだと思います。」 上地捕手も馬渕投手の成長に目を細めていた。 来シーズンも馬渕投手の女房役筆頭候補の上地捕手。馬渕投手の浮沈の鍵を握る存在だ。 --チームメートの中で、野球が上手い選手、センスがあると感じる選手は誰ですか?またその理由を教えてください。 「同期の小出達也(2年・美濃加茂)です。小柄ながら長打を打つことができ、塁に出れば、必ず盗塁を仕掛けてくれます。好調時の小出は、もし相手だったら対戦したくないですね。あと1番は…笑いのセンスですかね(笑)」 小出達也 選手(2年・美濃加茂) 今季は持ち前の俊足を活かして代走での出場機会が多かった小出選手。来季は一気にスターティングメンバ―入りを目指す。 「自分はまだまだ課題がたくさんありますが、馬渕にセンスがあると言ってもらい光栄です。馬渕の言ってくれた言葉を無駄にしないよう来季はレギュラーを奪い、チームを引っ張っていきます!」 来季は主力選手の一人として飛躍が待たれる。 --チームメートについてもう少し教えてください。普段、仲の良い選手は誰ですか? 「同い年の鈴木健太郎(2年・栄徳)です。いつもキャッチボールの相手をしてくれて、練習中も一緒にメニューをこなしています。大学でもなんだかんだで一緒にいることが多いです。」 ライバルは愛知大学・大矢圭一郎 投手 --馬渕投手にとって、ライバルはいますか? 「ライバルは愛知大学の大矢圭一郎 投手です。大矢とは中学時代、同じチームでした。そのこともあり、大矢が活躍しているのをみると、自分にとってとても刺激になります。」 愛知大学・大矢圭一郎 投手 来シーズンの愛知大学野球リーグ戦(2部)では、馬渕歩空 投手と大矢圭一郎 投手との投げ合いからも目が離せない。 --同期の吉田温郎 選手(2年・坂井)は、馬渕投手と同じく入学当初から主力として活躍している。 「同期の歩空には凄く刺激をもらっています。僕も負けじと試合で活躍したいと思っています。」 また、秋季リーグ戦でのピッチングについては、 「制球力もリズムもかなり良くなったのでとても守りやすいです。三振もとれますし、打たせて取ることもできるリズムをつくれるピッチャーだと思います。」 と話してくれた。 1年次より遊撃手として公式戦に出場。今季は二塁手として馬渕投手を好守で盛り立てた。 福井県立坂井高等学校では3年夏、主将として「第99回 全国高等学校野球選手権大会(甲子園)」に出場。 1番・遊撃手として出場した。 監督である父とともに-。 --少し高校時代の話も教えてください。同朋大学に入学を決めた理由を教えてください。 「同朋大学の監督でもある父がいることです。(*)高校時代も悩んでいるときはいつも父に相談していました。そんな父のもとで野球がやりたいと思い入学しました。」 2013年より同朋大学 硬式野球部を率いる馬渕隆雄 監督 自身も同朋大学 硬式野球部OBで投手として活躍。1996年ドラフト会議で西武ライオンズに5位指名を受け入団。 --チームを率いる馬渕隆雄 監督は歩空君のお父さんでもあります。親子鷹となりますが、お父さんと同じチームで戦うということをどのように考えていますか? 「グラウンドに来てしまえば、父ではなく“監督と選手”の関係になり、常に自分の課題を指摘してもらいながら的確なアドバイスをもらっています。監督の期待に応えられるように頑張ります。」 --馬渕監督とは試合中どんな会話をしますか? 「試合中はその回の反省をすぐにして、次の回をどのようにして抑えるか、守りから流れを引き寄せるにはどうすればいいか、最善の方法を話し合っています。」 --普段、自宅での馬渕監督はどんなお父さんですか? 「野球以外で怒られた記憶がないくらい優しい父です。何事にも挑戦させてくれて、自分のことをとても信頼してくれていると思います。」 一方、馬渕隆雄 監督にもお話を伺った。普段は息子である歩空 投手についてのインタビューには答えていないが、今回は特別にお話しいただいた。 --歩空君が野球を始めた時の様子を教えてください。 「野球をやるしかないという環境で、彼に他の競技をやるという選択肢はなかったですね。体も大きく、父親がプロ野球選手ということもあり、周囲から野球が上手と思われがちで辛かったと思います。でも文句も言わず、一生懸命に野球を続けてくれていたので感謝しています。」 --幼い頃から歩空君を見てきて、成長(野球の面でも、私生活の面でも)を感じるところはありますか? 「野球の成長で言えば、“遅咲きの選手”。大学に入学し、ようやく将来像がぼんやり映るまでには成長したかなと思います。大切な要素の『自信』『プライド』『自覚』が芽生えたことで、少しずつプレーや練習に反映している事が成長を感じます。私生活の成長でいえば、高校の寮生活がターニングポイントになりました。『自立』『協調』『我慢』と団体生活の難しさを経験したことで、『感謝』の心を持つことが成長に繋がったと思います。」 --現在の歩空君のピッチングに関して、感じるところを教えてください。 「今年ようやくスタートラインに足を掛けたところでこれからが本当の勝負、特性を活かして欲しいです。監督が一番に使いたい投手というは『勝てる投手』であり、特に勝負所の嗅覚が優れた選手です。たくさん修羅場を経験して、そこで得た経験を財産にしてほしいですね。」 --自宅での歩空君の様子を教えてください。 「食べて、寝てます(笑)」 --年明けには成人式を迎えますが、今後、歩空君にはどのような人生(野球を含めて)を歩んでほしいとお考えでしょうか? 「野球で培った経験や仲間を大切にしてほしいと思っています。そして、常に謙虚さを忘れず、周りに感謝する心を持ち、歩み続けてほしいです。これは歩空だけでなく、全選手に対して同じ気持ちです。」 “自分が投げれば勝つ” という存在に-。 --現在、来季に向けて取り組んでいることを教えてください。 「来季に向けて、球速アップと変化球の精度を課題としています。走り込みとウエイトトレーニングを軸にこの冬の練習でさらにレベルアップします。」 球速アップ、変化球の精度向上をテーマに臨んだ今季の愛知大学野球 強化リーグ戦 --では最後に来シーズンに向けての抱負、意気込みを教えてください。 「来シーズンは自分がチームを引っ張っていきます。“自分が投げれば勝てる”とチームのみんなに信頼してもらえるように全力で頑張ります!」 チーム待望の “右の本格派” として来シーズンは主戦投手の役割を担う。 久保田淳希 投手、山谷桂太郎 投手(4年・三好)、渡邊陵 投手(4年・帝京大可児)ら主力投手が卒業する。 同朋大学の『新エース』として、愛知大学野球リーグを席巻する日も、そう遠くはなさそうである。 馬渕歩空 投手 プロフィール 名前 馬渕 歩空 (Hodaka MABUCHI) 生年月日 1999年6月26日 出身地 愛知県名古屋市 血液型 O型 星座 かに座 球歴 白鳥ライジング~名古屋東リトルシニア~帝京大学可児高等学校~同朋大学 好きな言葉(座右の銘) “ 実るほど頭を垂れる稲穂かな ” 幼少の頃に憧れた野球選手 馬渕隆雄(美濃加茂高~同朋大学~西武ライオンズ) 現・同朋大学 硬式野球部 監督 甲子園のスター 田中将大(駒大苫小牧高~東北楽天ゴールデンイーグルス~ニューヨーク・ヤンキース) 目標とするピッチャー 豊田清(鈴鹿高~同朋大学~西武ライオンズ~読売ジャイアンツ~広島東洋カープ) 2020年シーズンより埼玉西武ライオンズ 1軍投手コーチ就任 好きな曲 ベリーグッドマン 『Hello』 好きな芸能人 新垣結衣